どうも、さびやんです。
早速ですが、投資信託を選ぶとき、あなたはどういう基準で選んでいますか?
一番わかりやすいところでは、その投資信託の「配当利回り」が高いかどうかで決めていく方法があります。
※配当利回りとは、「投資したお金に対して、元本利息や配当金の年間割合」のことです。
例えば、最初に100万円を投資したとします。
その後、運用会社が頑張った結果、決算日に1万円の配当金を出しました。
すると、配当は1万円(1年間の配当利益額)÷100万円(投資資金)で計算ができ、0.01となります。これをパーセントに直すと「1%」が配当利回りです。
配当利回りが高いということは、それだけたくさん配当金を出している証拠ですから、投資商品としては優秀に見えます。最近では、そんな配当利回りが高い投資信託が人気なのもうなづけます。
ですが配当利回りの高さで投資信託を選ぶのはとても危険です。何故なら、配当利回りが高くても基準価額が下がっていたり、純資産額が下がっていたりすると、そのファンドは資産運用に失敗している可能性が非常に高いからです。
そこで投資信託を選ぶとき、配当利回りの高さに踊らされないように、注意するべきポイントを覚えておくことが大切です。
今回の記事では、その高い配当利回りの背景にある、投資信託を選ぶときに注意するべき3つのポイントを解説していきます。
目次
注意点その① 投資信託には大きく分けて3つの手数料がかかる
投資信託にかかる手数料は、大きく分けて3つあります。
それは次の3つです。
投資信託の3つの手数料① 販売手数料
② 信託報酬
③ 解約時手数料(信託財産留保額)
実はこれら3つの手数料が、利回りに大きく影響を与える可能性があります。それぞれ簡単に説明しますね。
① 販売手数料について
投資信託販売会社が、我々投資家に投資信託を販売するときにかかる手数料のことです。
手数料がかかる商品、かからない商品があります。特にかからないものに関しては、ノーロードともいわれています。
② 信託報酬について
投資信託を持ち続けていることでかかる手数料のことです。購入金額に対して年間〇〇%、と決められています。この信託報酬はさらに、『販売会社、信託銀行、運用会社』の3社で分けられます。
信託銀行:投資家のお金を管理運営している機関。運用会社から指示を受けて運用する
運用会社:投資信託を作り、信託会社に運用指示を出す機関
・信託報酬は日割り計算
この手数料は、年間の信託報酬率に対して、日割りで計算され、毎日の基準価額から天引きされています。
例えば、純資産額1億円のファンドの場合、信託報酬が1%/年だとすると、1年は365日ですので、「1%(信託報酬)÷365日=0.00002739726%/日」の信託報酬額になります。
これに1億円をかけると、「1億円/純資産額×0.00002739726%/日=2739.7260274円」になります。
つまり、毎日約2739円が、純資産額から自動的に引かれています。ただし、この約2739円はファンド全体の資産から引かれる金額なので、自分の口座からではありません。
例えば自分が時価100万円分の投資信託を持っていたら、そこから×0.00002739726%をします。(厳密にはちょっと違いますが)計算すると、1日約27銭がかかることになります。
・実質コストがある
また、信託報酬の中に、実質コストと呼ばれる見えない手数料もあります。隠れコストとも言います。以前当サイトでも取り上げた記事がありますので合わせてご覧ください。
通常の信託報酬のほかに、売買委託手数料、監査報酬などが+αでかかります。
詳しくは、各ファンドの運用報告書に書いてあります。
監査報酬:公認会計士などの投資信託の監査にかかる費用のこと
③ 解約時手数料(信託財産留保額)について
投資信託を売却するときにかかる手数料のことです。販売手数料と同じように、かかる商品、かからない商品があります。
これら3つの手数料をしっかり見ておかないと、いくら配当利回りが高くても、手数料分のお金を取り戻せない可能性があります。
■信託報酬をチェック
■解約時手数料をチェック
注意点その② 高い配当利回りを実現できるだけの資金余力を見る
投資信託の配当利回りの土台となっているのは分配金です。この分配金を、ファンドに払えるだけのお金(分配余力金)があるかどうかを見ておくことが大切です。
何故なら、分配金は、基本的にファンドの資産から支払われます。すると、当然出した分だけ全体の資産が減り、その結果、基準価額が下がります。
運用がうまくいっていれば、下がった基準価額もそのうち戻ってくるでしょう。しかし、うまくいっていないのに分配金を出し続けたらどうなるでしょうか。ますます基準価額が下がってしまいます。
一つ例を挙げて説明しましょう。
基本情報:
1万口当たり:1万円
1万口分購入
分配金:配当利回り12%
分配方針:毎月型
1月目:運用がうまくいき、1万口あたり、11000円になりました。
分配金:100円――差し引き:10900円
2月目:運用がいまいちで、1万口あたり10900円のままです。
分配金:100円――差し引き:10800円
3か月目:運用を失敗、1万口あたり9000円まで下落しました。
分配金:100円――差し引き:8900円
4か月目:運用がいまいちで、1万口当たり8900円のまま。
分配金:100円――差し引き:8800円
5か月目:運用がうまくいき、1万口あたり9900円になる。
分配金:100円――差し引き:9800円
現在の資産残高 1万口所有:基準価額9800円
総受け取り分配金:500円
合計資産:約10300円
いかがでしょう。かなり都合のいい計算をしました。このように運用がうまくいけばいいのですが、うまく行かなかったときは大変です。
仮に運用が毎月トントンだった場合、分配金分だけ基準価額が徐々に減ってきます。その結果、ファンドが維持できなくなり、解散してしまうかもしれません。
■ 分配金の余裕を調べる方法
分配金があとどれぐらい支払い続けられるかは、次の計算式で調べることが出来ます。
この計算式で使う「分配金原資」と「今回(今期)の分配金」は各ファンドの運用報告書で調べることが出来ます。
例えば、SBI証券で載っていた「2018/1/22(金)~2018/1/26(金)」の毎月分配型ファンド人気ランキングの1位に「T&D-ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コース」というファンドがありましたので、これを利用しましょう。
「ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コース」の運用報告書から抜粋してみました。
当期分配金:110円
計算式:984円(分配金原資)÷110=約9か月
ということで、9か月分だけの余力があることがわかりました。
この残月数があればあるほど余力があるのがわかりますね。
注意点その③ 分配金の目指した結果、基準価額が下がり続けていないか
「② 分配金を払えるだけの余力を見る」の最後でも書きましたが、
高い利回りを維持しようとすると、基準価額が下がってくる場合があります。
いやいや、基準価額が下がって何が悪いの?と思われるかもしれません。
大いに悪いのです笑
何しろ、基準価額が下がるということは、その投資信託の価値が下がるということです。
つまり
「自分が持っている資産の価値が下がる」
ということなんです。
例えば、次の条件で配当金が出る投資信託を買ったとします。
分配金:1万口につき1万円/月
配当利回り:12%
毎月の運用成績:可もなく不可もなく
この条件をもとに3か月運用してみましょう。するとこうなります。
2か月目:99万円⇒配当1万円により基準価額98万円
3か月目:97万円⇒配当1万円により基準価額97万円
このままでいけば、97か月後にはファンドの資産がゼロになります。年間配当利回り12%ですから、毎年12万円分基準価額が減っていくのです。
※もっとも、その前にファンド自体が解散しますが
確かに安くなれば新しい資金が入ってくるので、純資産額は増えてくるかもしれません。ですが、口数は増えても資産が減ってしまっては元も子もありませんよね。
実際、先ほど載せた「T&D-ブラジル株式ツインαファンド(毎月分配型)ツインα・コース」というファンドですが、チャートを見てみると、基準価額が真っ逆さまに落ちています。
分配金込みでやっとどっこいどっこいか、ややマイナスです。分配金はなんとか払えるぐらいの利益は出ているのでしょうが、維持が出来ているだけで資産は増えていません。
特に世界的に好景気なこの時期なのに、この成績は後から大変なことになりそうですよね。
▷ おわりに
いかがでしたか。
人間の行動心理学的に、1年後の100万円より、目の前の1万円を欲しがります。なにせ、毎月目に見えるお金が欲しいですからね。
確かに高い利回りは魅力的ではありますが、高ければいいものでもありません。むしろ利益を吐き出すのではなく、内側に入れたまま運用した方が良い場合があります。
そして本当にお金を稼げる人は、目の前の利回りを追うのではなく、それこそ1年後の100万円を選びます。そうしたほうがより大きく稼げるからです。
利回りで選ぶのも確かにいいのかもしれません。けれど、そういうからくりがあることを知ったうえで、投資信託を選んでいきたいものですね。
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